8.2.1 Multiface の PC への接続

RME 社製の 24bit/96kHz マルチチャネル A/D装置は,下記の 3 つの装置から 構成される.

ただし,マイクロホン用プリアンプは,必ずしも必要ではなく,録音レベルを 確保できるならば,接続する必要はない. これらのハードウエアは,添付マニュアルを参照して,PC に接続する.

8.2.1.1 Multiface 用ソフトウェアのインストールと設定

Multiface を Linux にマルチチャネル A/D機器として認識させるためには, ALSA デバイス用汎用ドライバと,Multiface 用のファームウエア及び, ソフトウェアをインストールし,パラメータを設定する必要がある.

以下のインストールは,パッケージからインストールする方法を強く 推奨する.ソースからコンパイル,インストールという方法もあるが, 他のソフトウェアとの競合が起り,コンパイルとインストールが見かけ上, 成功しても,実際には音が再生・録音できないという現象に陥りやすい. 特に pulseAudio との競合が起るので注意が必要である.各自のシステム 環境に強く依存するため,ソースからのインストールの具体的な解説は割愛する.

以下パッケージから,ALSA デバイス用汎用ドライバのインストール方法を 説明した後に,Multiface の初期化に必要な hdsp コマンドを使用可能にするための インストール作業について述べ,hdsp コマンドによる設定について述べる. 最後に,HARK を使った録音ネットワークの例題について解説する.

8.2.1.2 ALSA デバイス用汎用ドライバのインストール

ALSA デバイス用汎用ドライバ (alsa-lib, alsa-driver) は, インストールされていることが多い. インストールされているか確認するには,以下の太字の部分を入力する. $>$ はコマンドプロンプトを表す.イタリック体部分のメッセージが表示されれば, alsa-lib,alsa-drive がインストールされているので,これらのインストールは 必要ない.Version 番号は,使用環境によって異なるので作業例中の Version 1.0.24 は,各自の使用環境で異なるバージョン番号を示す場合がある.適宜読み換えて 作業を進める.今回のテスト環境では, Version 1.0.24 を使用した.

> cat /proc/asound/version
 Advanced Linux Sound Architecture Drive Version 1. 0. 24. 

インストールされていなければ,次の節の作業で自動的に自動インストールされるの で,このまま次節の作業に入ればよい.

8.2.1.3 Multiface の初期化に必要なコマンドを使用可能にするためのインストール作業

必要なパッケージは, 以下の 2 つである.

これらのパッケージのインストールには,

のいずれかを使用する. 以上のパッケージをインストールすることで,Multiface の設定に 必要な以下の 3 つのコマンドが使用可能になる.

apt-get を使用したインストール例を示す.

> sudo apt-get update
> sudo apt-get install alsa-firmware-loaders
> sudo apt-get install alsa-tools-gui

最後に,multiface_firmware_rev11.bin を入手するために, alsa-firmware を alsa の Web サイトからソースをダウンロードする. (http://www.alsa-project.org/main/index.php/Main_Page). 2011/12/13 現在,利用可能な最新バージョンは, 1.0.24 である. alsa-firmware-1.0.24.tar.bz2 をダウンロードする. ダウンロード後,ファイルは,システムメニューの「場所」「ダウンロード」に 保存される.これを,「場所」「ホーム」にコピーすると作業しやすい.

適当なディレクトリにダウンロードしたファイル alsa-firmware-1.0.24.tar.bz2 を コピーする.最初に bunzip2 と tar でファイルを展開する. その後,コンパイル作業に入る.具体的な作業手順を 以下に示す.

> bunzip2 -d alsa-firmware-1.0.24.tar.bz2
> tar vfx alsa-firmware-1.0.24.tar
    alsa-firmware-1.0.24/
    alsa-firmware-1.0.24/multisound/
          中略 
    config.status: creating aica/Makefile
    config.status: executing depfiles commands
> make
> sudo mkdir -p /lib/firmware/hdsploader
> sudo cp hdsploader/multiface_firmware_rev11.bin /lib/firmware/hdsploader/
> sudo cp hdsploader/multiface_firmware_rev11.dat /lib/firmware/hdsploader/

以上で, hdsp コマンドがインストールされて Multiface の操作と設定が可能になった.

8.2.1.4 hdsp コマンドによる設定

必要な hdsp コマンドは hdsploader, hdspconf, hdspmixer の3つである. これらのコマンドを順に説明する.