8.1.1 無線RASP

\includegraphics[width=.5\linewidth ]{fig/device/WS.eps}
Figure 8.1: 無線 RASPの写真

8.1 に無線 RASP の概観を示す. 無線 RASP は,単体で 16ch A/D変換と 2ch D/A変換が可能な A/D,D/A変換装置である. TCP/IP 経由でコマンドを送受信し,ホスト PC から A/D,D/A 変換処理の設定とデータの送受信を行う. サンプリング周波数や,アナログ入力部分のフィルタをソフトウェアから容易に変更でき使い勝手が良い.

8.1.1.1 無線 RASP の ネットワーク設定

無線 RASP は,単体のボックスで構成されている. ホスト PC との接続は,無線 LAN で行うため, 別途無線 LAN に対応したルーターが必要である. 無線 RASP には,事前に IP アドレスを設定する他, 無線ルーターの SSID を登録しておく必要がある. IP アドレスは出荷時設定をそのまま使用してもよいが, SSID の設定は必須である. 添付マニュアルを参照して設定を完了させておく.

8.1.1.2 無線 RASP 用ソフトウェアのインストールと設定

無線 RASP を操作するためには,操作するホスト PC に, ライブラリのインストールとサンプルプログラムをインストールする必要がある. 無線 RASP に同梱の CD からファイルをコピーし,インストール作業を行う. 詳細は,添付資料を参考に行う.

HARK の使用には,少なくとも無線 RASP のアナログフィルタの設定を初期化できる 環境を用意する必要がある.具体的には, ws_fpaa_config というプログラムの インストールが必須である.ライブラリをインストールし,サンプルプログラムを コンパイルすると ws_fpaa_config を生成できる. ws_fpaa_config は, 無線 RASP の電源を切ると設定値が消えるため,電源を入れた直後に必ず実行する必要がある.

8.1.1.3 無線 RASP を用いた HARK での録音テスト

まず表 8.1 に示す使用機材を確認する.

Table 8.1: 使用機材一覧

機材名

説明

無線 RASP

A/D,D/A変換装置

無線 LAN 対応ルーター

RASP と ホスト PC 接続用

PC

無線 RASP 操作用 PC

HARK を用いた録音テストには,図 8.2 に示す ネットワークファイル test.n を用いる. AudioStreamFromMic から ChannelSelector を経由し, MatrixToMap から SaveRawPCM への接続となっている. 各プロパティの設定を表 8.2 に示す. "DEVICE" パラメータには,RASP に設定した IP アドレスを指定する (test.n では,192.68.0.1 と仮定.適宜読み替えて設定する).

 ./test.n

とすることで,無線 RASP のアナログ入力 1 の音声が 3 秒間録音される. PCM 16ビット量子化,16kHz サンプリングの音声がリトルエンディアン RAW 形式で保存される.

\includegraphics[width=.7\linewidth ]{fig/device/WS-sample.png}
Figure 8.2: ネットワーク (test.n)
Table 8.2: 録音ネットワークのプロパティ

モジュール名

プロパティ名

値の型

設定値

AudioStreamFromMic 

LENGTH

int 

512

 

ADVANCE

int 

160

 

CHANNEL_COUNT

int 

16

 

SAMPLING_RATE

int 

16000

 

DEVICETYPE

string 

WS

 

DEVICE

string 

192.68.0.1

ChannelSelector 

SELECTOR

Object 

$<$Vector $<$int $>$ 0 $>$

SaveRawPCM 

BASENAME

string 

sep_

 

ADVANCE

int 

160

 

BITS

int 

16

Iterate 

MAX_ITER

int 

300