Problem
HARK にて,音源定位や音源分離ができるのがわかったが, その情報を他のシステムに使いたいがどうすればいいか.
この質問に対しては,
HARK で作った異なるシステム同士の接続
ソケット通信を用いた他のシステムとの接続
ROS(Robot Operating System : http://www.ros.org/wiki/)との接続
を別々に説明する.
Solution 1
: HARK で作った異なるシステム同士の接続
HARK において一度作ったシステムを一つのサブモジュールとして, 複数のサブモジュールの集合を一つのネットワークとして処理したい場合が多くある. 例えば,同じアルゴリズムを並列処理させる場合,全ての並列モジュール群を一つの subnet シートに記述するのは膨大な数のノードになってわかりにくいし,手間がかかる.
本稿では,subnet シートに書かれている一つのシステムを一つのノードとして扱う方法を紹介する.
接続したいシステムを記述
これは,既存の n ファイルに
"Networks" -> "Add Network"
として subnet シートを追加して作っても良いし, 既存の n ファイルを使用しても構わない. この時,このシートに関する入力と出力を指定しておく (接続した後に入出力を変えることも可能なので強制ではない).
作った subnet シートをエクスポート(注1)
作ったシートがアクティブになった状態で
"Networks" -> "Export Network"
とし,適当な名前をつけて作った subnet シートのみの n ファイルを保存する. このとき,後でインポートした時に subnet シートの名前が 保持されるので,エクスポートする前にわかりやすいシート名にすることをおすすめする.
接続したいファイル側でインポート
作った subnet シートを一つのノードとして使う側のファイルで
"Networks" -> "Import Network"
とし,エクスポートしたファイルを選択する. 新しい subnet シートとしてファイルが読み込まれる.
サブモジュールとして使用
インポートした subnet シートとは別のシートを開き,サブモジュールとして使用する側のシートを用意. 新しいシートで右クリックし,
"New Node" -> "Subnet"
から自分の作った subnet シートと同じ名前のノードを選択することで, インポートした subnet シートと同じ入出力数と名前を持ったノードが使用できる.
サブモジュールの改変(オプション)
インポートした subnet シートは適宜改変することができる. この改変例については(注2)を参照.
この大きなシステムのサブモジュール化により, 同じブロック構成を作る手間が省けるし, 大規模なネットワークファイルが見やすくなる.
この機能の使用例として以下のような場合が考えられる.
同じ処理を複数回使用する
同じ処理を繰り返したり,並列処理をさせる場合, その処理をモジュール化しておけば,メインのシートでは そのノードを繰り返し使用するだけでいい. 極端な例だが,同じ処理を100回連続して繰り返す場合, 100回接続するよりも,10回の処理のシートをサブモジュールとして そのモジュールを10回呼び出す方が,構成が簡易になるのは容易に想像がつく.
いつも使っている処理をテンプレートとして使用する
例えば音源定位の部分はいつも同じブロック構成を使用し, 音源分離の部分だけいつも改変しているような場合, わざわざ音源定位の処理を毎回記述するよりも, その処理を一回テンプレートとしてエクスポートしておいて, 一つのノードとして毎回読み込んで同じものを使う方が楽である.
(注1) エクスポート・インポートはわざわざしなくても,エクスポートすべき subnet シートの ノードをインポートする側にコピー・ペーストするだけでもいい. しかし,大きな subnet シートのノードを全てコピー・ペーストするのは手間がかかるため, エクスポートを行うよう説明した.
(注2) 以下にサブモジュールの改変例について示す.
入出力数や名前の変更
これは当たり前のことかもしれないが,インポートした後に入出力数や subnet シート名を変更し,ノードとして使用する側の仕様を変更することができる. 入出力数や名前の変更により, ノードとして使用するメインのシート側の入出力数や名前が変更になるため, 接続の因果関係を崩さないようにネットワークを適宜構築しなおすことが必要になる.
サブモジュールの中身のパラメータを一つ一つ変える
インポートしたサブモジュールを複数回使用する場合, その subnet シートの中で設定されているパラメータを, 呼び出すごとに変更できるように引数を与えたいことはよくある. この場合,パラメータの型である ``subnet_param'' を利用する. 使用方法は簡単で,インポートした subnet シートで引数を取って一つ一つ変更したいパラメータ の型を ''subnet_param'' として,値には適当な名前をつける. すると,ノードとして呼び出した方のブロックに,その名前のついたパラメータが追加される. あとは呼び出す側でその引数に具体的な値を入れればよい.
Solution 2
: ソケット通信を用いた他のシステムとの接続
本章では,ソケット通信を用いた HARK 以外のシステムとの接続について説明する. 具体的に,現在の HARK は,ソケット通信を用いて,音声認識エンジンである Julius との接続を実現している. 通信を担うノードとして,HARK には以下のものが標準で入っている.
いずれのクライアントも,ソケットを介して, 音声の特徴量ベクトルなどの情報を メッセージ送信しており, あとは Julius 側でその処理を行うようになっている.
詳しくは,上記2つのソースを参照されたい. ただし,上記のノードは,一つの音声区間をまとめて送信するなど, 多少複雑なことをやっているので,次節では, 簡単にクライアントとしての HARK ノードの作り方と, サーバとしての HARK ノードの作り方を見ていく.
Solution 2-1 : ソケット通信を用いた他のシステムとの接続(クライアント編)
Julius との通信の場合,Julius はサーバプログラムとして, 常に HARK からのメッセージを listen している. この例を簡単なサーバプログラムと HARK ノードを作ることで構築してみる.
まずはサーバプログラム listener.c を作る. (これが Julius 側の他のシステムに対応する.)
#include <stdio.h> #include <string.h> #include <sys/types.h> #include <sys/socket.h> #include <netinet/in.h> main(int argc, char *argv[]) { int i; int fd1, fd2; struct sockaddr_in saddr; struct sockaddr_in caddr; int len; int ret; char buf[1024]; if (argc != 2){ printf("Usage: listener PORT_NUMBER\n"); exit(1); } if ((fd1 = socket(AF_INET, SOCK_STREAM, 0)) < 0) { perror("socket"); exit(1); } bzero((char *)&saddr, sizeof(saddr)); saddr.sin_family = AF_INET; saddr.sin_addr.s_addr = INADDR_ANY; saddr.sin_port = htons(atoi(argv[1])); if (bind(fd1, (struct sockaddr *)&saddr, sizeof(saddr)) < 0){ perror("bind"); exit(1); } if (listen(fd1, 1) < 0) { perror("listen"); exit(1); } len = sizeof(caddr); if ((fd2 = accept(fd1, (struct sockaddr *)&caddr, &len)) < 0) { perror("accept"); exit(1); } close(fd1); ret = read(fd2, buf, 1024); while (strcmp(buf, "quit\n") != 0) { printf("Received Message : %s", buf); ret = read(fd2, buf, 1024); write(fd2, buf, 1024); // This returns a responce. } close(fd2); }
中身は普通のソケット通信のプログラムである. このプログラムによって,fd2 に書き込まれたメッセージを printf 表示する. ソースがカット&ペーストできたら,コンパイルをしておく.
> gcc -o listener listener.c
次に,HARK 側のクライアントノードを作成する. 以下のソースをカット&ペーストし, TalkerTutorial.cc を作成する.
#include <iostream> #include <BufferedNode.h> #include <Buffer.h> #include <string.h> #include <sstream> #include <stdio.h> #include <sys/types.h> #include <sys/socket.h> #include <netinet/in.h> #include <netdb.h> #include <csignal> using namespace std; using namespace FD; class TalkerTutorial; DECLARE_NODE(TalkerTutorial); /*Node * * @name TalkerTutorial * @category HARKD:Tutorial * @description This block outputs the same integer as PARAM1 and sends it through socket. * * @output_name OUTPUT1 * @output_type int * @output_description This output the same integer as PARAM1. * * @parameter_name PARAM1 * @parameter_type int * @parameter_value 123 * @parameter_description Setting for OUTPUT1 * * @parameter_name PORT * @parameter_type int * @parameter_value 8765 * @parameter_description Port number for socket connection * * @parameter_name IP_ADDR * @parameter_type string * @parameter_value 127.0.0.1 * @parameter_description IP address for socket connection * END*/ bool exit_flag2 = false; class TalkerTutorial : public BufferedNode { int output1ID; int param1; int port; string ip_addr; struct sockaddr_in addr; struct hostent *hp; int fd; int ret; public: TalkerTutorial(string nodeName, ParameterSet params) : BufferedNode(nodeName, params) { output1ID = addOutput("OUTPUT1"); param1 = dereference_cast<int>(parameters.get("PARAM1")); port = dereference_cast<int>(parameters.get("PORT")); ip_addr = object_cast<String>(parameters.get("IP_ADDR")); signal(SIGINT, signal_handler); signal(SIGHUP, signal_handler); signal(SIGPIPE, signal_handler); if ((fd = socket(AF_INET, SOCK_STREAM, 0)) < 0) { perror("socket"); exit(1); } bzero((char *)&addr, sizeof(addr)); if ((hp = gethostbyname(ip_addr.c_str())) == NULL) { perror("No such host"); exit(1); } bcopy(hp->h_addr, &addr.sin_addr, hp->h_length); addr.sin_family = AF_INET; addr.sin_port = htons(port); if (connect(fd, (struct sockaddr *)&addr, sizeof(addr)) < 0){ perror("connect"); exit(1); } inOrder = true; } void calculate(int output_id, int count, Buffer &out) { // Main loop routine starts here. ostringstream message; message << "[" << count << " , " << param1 << "]" << endl; string buf = message.str(); write(fd, buf.c_str(), 1024); cout << "Sent Message : [" << count << " , " << param1 << "]" << endl; (*(outputs[output1ID].buffer))[count] = ObjectRef(Int::alloc(param1)); if(exit_flag2){ cerr << "Operation closed..." << endl; close(fd); exit(1); } // Main loop routine ends here. } static void signal_handler(int s) { exit_flag2 = true; } };
こちらも中身は単純なソケット通信のクライアントノードになっているのみである. count ループ毎に message に格納された文字列をソケット通信している. カット&ペーストが終わったら,ソースコンパイルからインストールをする.
クライアントとサーバが揃ったところで,Flowdesigner のノードを構築してみる. Sleep で特定の時間周期毎にソケット通信を行うような下記のような簡単なノードである.
実行するためには, まずはサーバプログラムから起動する. 自分で適当なポート番号を決め(ここでは 8765 とする) コマンドライン上で次のようにする.
> ./listener 8765
次に,Flowdesigner のネットワークファイルの設定に移る. 新しいコンソールを起動し,Flowdesigner で先ほど作ったネットワークファイルを起動.
Sleep ノード左クリック > SECONDS を float 型で適当な周期に(ここでは 10000) TalkerTutorial ノードを左クリック > PARAM1 を int 型で適当な値に TalkerTutorial ノードを左クリック > PORT を int 型で決めたポート番号に(ここでは 8765) TalkerTutorial ノードを左クリック > IP_ADDR を string 型で IP アドレスまたはホスト名に(ここでは 127.0.0.1)
IP アドレスの設定は同じマシンでサーバとクライアントが動いていることを仮定した. 離れたマシンで通信を行うことももちろん可能である.
「実行」ボタンクリック
すると,動いているサーバに HARK からのメッセージが届き, それぞれのコンソールに以下のように表示される.
サーバ側( listener )
>eceived Message : [0 , 123] Received Message : [1 , 123] Received Message : [2 , 123] ...
クライアント側( Flowdesigner : TalkerTutorial )
>ent Message : [0 , 123] Sent Message : [1 , 123] Sent Message : [2 , 123] ...
このように,ソケット通信を用いて, 他のシステムに応答を与えることが可能である.
Solution 2-1 : ソケット通信を用いた他のシステムとの接続(サーバ編)
次に,あるクライアントプログラムから,ソケット通信で データを受け取れるようなサーバノードを作成することを考える.
先ほどと同様に,簡単なクライアントプログラムを用意した後, サーバノードを作ってみる.
まずはサーバプログラム Talker.c を作る. 簡単なソケット通信のクライアントプログラムである.
#include <stdio.h>
#include <string.h>
#include <sys/types.h>
#include <sys/socket.h>
#include <netinet/in.h>
#include <netdb.h>
main(int argc, char *argv[])
{
struct sockaddr_in addr;
struct hostent *hp;
int fd;
int len;
int port;
char buf[1024];
// int ret;
if (argc != 3){
printf("Usage: talker SERVER_NAME PORT_NUMBER\n");
exit(1);
}
if ((fd = socket(AF_INET, SOCK_STREAM, 0)) < 0) {
perror("socket");
exit(1);
}
bzero((char *)&addr, sizeof(addr));
if ((hp = gethostbyname(argv[1])) == NULL) {
perror("No such host");
exit(1);
}
bcopy(hp->h_addr, &addr.sin_addr, hp->h_length);
addr.sin_family = AF_INET;
addr.sin_port = htons(atoi(argv[2]));
if (connect(fd, (struct sockaddr *)&addr, sizeof(addr)) < 0){
perror("connect");
exit(1);
}
while (fgets(buf, 1024, stdin)) {
write(fd, buf, 1024);
// ret = read(fd, buf, 1024); // This listens a responce.
// buf[ret] = '\0';
printf("Sent Message : %s",buf);
}
close(fd);
exit(0);
}
プログラムから見ても明らかなように, コンソール上で,改行までの文字列を読み込み, その文字列を fd というディスクリプタで表されるソケットに流している.
ファイルができたら,以下でコンパイル.
> gcc -o talker talker.c
ここから HARK でサーバノードを構築する. 重要なことは,クライアントからメッセージが送られてくるタイミングは未知なので, 一回メッセージを受信するごとに一連の処理をするようにサーバノードを作成しなければならないことである. そこで,今までは Sleep を条件としたループ演算を行ってきたが, サーバー自身がループ処理のトリガとなるようにノードを作る. 以下がその例である.
#include <iostream>
#include <BufferedNode.h>
#include <Buffer.h>
#include <string.h>
#include <sstream>
#include <stdio.h>
#include <sys/types.h>
#include <sys/socket.h>
#include <netinet/in.h>
#include <csignal>
using namespace std;
using namespace FD;
class ListenerTutorial;
DECLARE_NODE(ListenerTutorial);
/*Node
*
* @name ListenerTutorial
* @category HARKD:Tutorial
* @description This block listens to messages from socket and outputs it.
*
* @output_name OUTPUT1
* @output_type string
* @output_description Same as the message received from socket.
*
* @output_name CONDITION
* @output_type bool
* @output_description True if we haven't reach the end of file yet.
*
* @parameter_name PORT
* @parameter_type int
* @parameter_value 8765
* @parameter_description Port number for socket connection
*
END*/
bool exit_flag = false;
class ListenerTutorial : public BufferedNode {
int output1ID;
int conditionID;
int port;
int fd1, fd2;
struct sockaddr_in saddr;
struct sockaddr_in caddr;
int len;
int ret;
char buf[1024];
public:
ListenerTutorial(string nodeName, ParameterSet params)
: BufferedNode(nodeName, params)
{
output1ID = addOutput("OUTPUT1");
conditionID = addOutput("CONDITION");
port = dereference_cast<int>(parameters.get("PORT"));
signal(SIGINT, signal_handler);
signal(SIGHUP, signal_handler);
signal(SIGPIPE, signal_handler);
if ((fd1 = socket(AF_INET, SOCK_STREAM, 0)) < 0) {
perror("socket");
exit(1);
}
bzero((char *)&saddr, sizeof(saddr));
saddr.sin_family = AF_INET;
saddr.sin_addr.s_addr = INADDR_ANY;
saddr.sin_port = htons(port);
if (bind(fd1, (struct sockaddr *)&saddr, sizeof(saddr)) < 0){
perror("bind");
exit(1);
}
if (listen(fd1, 1) < 0) {
perror("listen");
exit(1);
}
len = sizeof(caddr);
if ((fd2 = accept(fd1, (struct sockaddr *)&caddr, (socklen_t *)&len)) < 0) {
perror("accept");
exit(1);
}
close(fd1);
inOrder = true;
}
void calculate(int output_id, int count, Buffer &out)
{
// Main loop routine starts here.
Buffer &conditionBuffer = *(outputs[conditionID].buffer);
conditionBuffer[count] = (exit_flag ? FalseObject : TrueObject);
ret = read(fd2, buf, 1024);
cout << "Count : " << count << " , Received Message : " << buf << endl;
ostringstream message;
message << buf << endl;
string output1 = message.str();
(*(outputs[output1ID].buffer))[count] = ObjectRef(new String(output1));
write(fd2, buf, 1024);
if(exit_flag){
cerr << "Operation closed..." << endl;
close(fd2);
exit(1);
}
// Main loop routine ends here.
}
static void signal_handler(int s)
{
exit_flag = true;
}
};
ここで,CONDITION という新たな bool 変数を出力するポートが加わったことが, 通常のノードとは異なる. この CONDITION ポートは,強制終了があったり,ソケット通信が中断されたりする時以外は 常に true を返す出力となっている. このポートを Flowdesigner のネットワークファイルのループのトリガにする.
実際にネットワークファイルを構築してみる. 上記のソースをカット&ペーストしたら, コンパイル&インストール. Flowdesigner を起動. 以下のノードを作成する.
この中で,CONDITION 出力ポートが ネットワークファイルのループの CONDITION になっていることに着目されたい. つまり,このネットワークファイルのループ周期は, ListenerTutorial の処理周期と同じになるということである.
ListenerTutorial ノードは,calculate 関数内の
ret = read(fd2, buf, 1024);
で,メッセージを受信するまで,処理をサスペンドしている. メッセージを受信すると,calculate 関数の全てが処理され,一つの count の処理が終了する.
ネットワークファイルの CONDITION を ListenerTutorial ノードの CONDITION ポートに したことで,メッセージの一回の受信に合わせて一連の処理を行うことができるようになる. これで,サーバノードはメッセージ受信のイベントに合わせて対応することができ, 満たすべき仕様を実現することができた.
実際に動かしてみよう. まずはサーバプログラム(先ほど作った Flowdesigner のネットワークファイル)から起動する.
ListenerTutorial ノードを左クリック > PORT を int 型で決めたポート番号に(ここでは 8765) 「実行」ボタンをクリック
CONDITION の設定を忘れないように.
次にクライアントプログラムを起動する. 新しいコンソールを起動し,先ほどコンパイルした talker.c のあるディレクトリへ移動. コマンドライン上で次のようにする.
> ./talker 127.0.0.1 8765
ここで,IP アドレスの設定は同じマシンでサーバとクライアントが動いていることを仮定し, 127.0.0.1 とした.離れたマシンで通信を行うことももちろん可能である.
talker の方のコンソールに適当な文字を入力してみよう.
すると,動いている Flowdesigner のサーバノードにクライアントコンソールからの メッセージが届き,それぞれのコンソールに以下のように表示される. (例えば,“hoge1”,“hoge2”,“hoge3”と入力した場合)
サーバ側( talker.c )
>oge1 Sent Message : hoge1 hoge2 Sent Message : hoge2 hoge3 Sent Message : hoge3 ...
クライアント側( Flowdesigner : ListenerTutorial )
>ount : 0 , Received Message : hoge1 Count : 1 , Received Message : hoge2 Count : 2 , Received Message : hoge3 ...
このように,HARK のノード自身がサーバとなって, 他のシステムからのメッセージを受信することも可能である.
Solution 3
: ROS(Robot Operating System)との接続
Willow Garage 社が開発しているオープンソースの ロボット用プラットフォーム ROSを 使ってシステムを作成している場合, HARK から得た音源定位や分離結果を本節に述べる方法で ROS に渡すことができる.
ROS は web 上のドキュメントが充実しているので, (1) ROS システムは既にインストール済み, (2) topic への publish,topic からの subscribe 等の基本的な概念は既知とする. 具体的には, ROS tutorial の Beginner Level がすべて終わっていると仮定する.
接続方法には 2 種類あるので,それぞれについて解説する. また,ROS ノードの実装は Python を用いる.
(1) 標準出力を使う
HARK のネットワークは単体で実行可能であることを利用して, ノード中でサブプロセスとして HARK を実行する方法である. その上で, HARK から定位結果などを標準出力として出力させる (定位結果がほしいなら, LocalizeMUSIC の DEBUG プロパティをオンにすればよい).
例えば以下のコードでネットワーク /home/hark/localize.n を python スクリプト中から実行できる.
import subprocess p = subprocess.Popen( "/home/hark/localize.n", cwd = "/home/hark/", stderr = subprocess.STDOUT, stdout = subprocess.PIPE)
続いて,以下のコードでネットワークの出力を python スクリプト中で処理できる.
while not rospy.is_shutdown(): line = p.stdout.readline() line から情報を得る
こうして HARK から得た情報を使って 適切なトピックへ publish すればよい.
(2) ソケット通信を使う
もう一つの方法は,ROS と HARK をソケット通信で接続することである. ROS 側にソケット通信のコードを, HARK 側にソケット通信のノードを作成する必要があるので手間は大きいが, 全体の構成はクリアになる. HARK のノードを作成するのは hark-document のチュートリアルを参照されたい.
ここでは,情報を受信する python スクリプトの断片を示す.
import socket sock = socket.socket(socket.AF_INET, socket.SOCK_STREAM) sock.bind( ('localhost', 12345) ) sock.listen(1) client, addr = sock.accept() while 1: received = client.recv( 1024 )
(3) トピックを介して通信
最後は, ROS システムを活用する通信方法である. ROS のトピックに対してメッセージを publish するノードを作成すれば, 定位結果や分離音を直接 ROS に送信する事が可能である.
See Also
hark-document チュートリアル3 (ノード作成)